穢れた手で触ってはならぬ純白のお守り
お守りコレクションblog
第217回目は東京都港区にある
虎ノ門 金刀比羅宮の白錦御守です。
初穂料700円(授与時)。

白地に丸金という
シンプルでスタイリッシュな色使い。
純白の中に雲流と緩やかな波紋が同色の白で描かれています。↓

清廉な心身で手にしたいと思わせるお守りです。
五穀豊穣・招福除災・万民泰平など
金刀比羅宮のご利益のすべてが詰まっています。
丸金は虎ノ門 金刀比羅宮の社紋です。
裏面です。

虎ノ門の「ノ」が無い虎門に
金刀比羅宮と金字で記されています。
うーん、こちらもシンプル!
余分なものが無い潔さが
持つ者にまっすぐなご利益を与えてくれそうですね。
白錦というお守りの名前。
縁起のいい言葉で、長寿や復活、金運を呼び込む
といった意味があるそうです。
丸金の紋字は何だか金運を高めてもくれそうですよね。
そんな虎ノ門 金刀比羅宮は以下のようなところです。
オフィスビルに溶け込んだ近代的な正面鳥居
虎ノ門 金刀比羅宮は虎の門交差点のすぐ近く
麻布方面の1号線沿いに鎮座しています。
ですが、神社特有の雰囲気が入り口にはなく、
速足で探していたら素通りしてしまうかもしれません。
目印としては
このような社号碑が入り口にあります。↓

石造りの鳥居はビルと同色で融合しています。↓

ちょっと見上げれば、こ、高層ビル!

虎ノ門琴平タワーに付属するように鳥居があるんです。
太い柱にも度肝を抜かれました。
ちなみに鳥居から見て
すぐ右方向には文科省、
道向かい正面には笹川平和財団ビル。
左手に進めば虎ノ門ヒルズという立地です。
境内は安らぎを求める都会人の憩いの場
鳥居をくぐると
右手に手水舎があります。↓

(残念、水が出てないんだ)と思いつつ
撮影のため近づくと、筒の先からチョロチョロと水が流れてきました。
どうやらセンサーに反応すると水が出る仕組みのようです。
近くにいらっしゃったご婦人が
「あら~ここお水出たのね! 知らなかったわ~」
とのことで、常連の方でもそんな仕組みとは気付かなかったそうです。
境内はオフィス街特有の構造となっており、↓

天井は琴平ビル。
壁の隅や道脇にベンチが設置されており、
多数の方が寛いだ様子で利用されていました。
わたくしが訪れたときは吹き抜ける空気が清々しく
神聖な空間が保たれているなと感じました。
この先の左手に
授与所があります。↓

扉が閉まっていますが
近くまで行くと中にいる方が
引き扉を開けてご対応くださいます。
集う人が気兼ねなく過ごせるよう
極力そっとしておいてくれる
都会ならではの気遣い&おもてなしなのかもしれません。
四方の守り神が施された文化財級の銅鳥居
さらに奥へと進むと
近代的な雰囲気とは打って変わり
歴史を感じる鳥居と拝殿が見えてきます。↓

ビルの上から差し込む太陽の光が
ちょうど扁額の上に当たり
なんとも神秘的な写真となりました。
手前の銅鳥居は
文政四年(1821年)に奉納されたもの。
側の柱上部には青龍と玄武。↓

右柱は朱雀と白虎。↓

四方の守り神が施されています。
四神それぞれ味のある風貌と凝った細工で
これを観るだけでも価値があると感じました。
柱の根元にはたくさんの名が刻まれています。↓

この銅鳥居は2001年(平成13年)に
港区指定有形文化財建造物に指定されました。
金刀比羅宮の御分霊を香川の地から遥々勧請
拝殿です。↓

戦災により一度は消失してしまいましたが、
1951年(昭和26年)に再建されました。
2001年(平成13年)には
東京都選定歴史的建造物に指定されています。
御祭神は
大物主神(おおものぬしのかみ)
崇徳天皇(すとくてんのう)
です。
御由緒は
1660年(万治3年)に讃岐国丸亀藩主であった
京極高和(きょうごく たかかず)が
香川に鎮座する、金刀比羅宮(本宮)の御分霊を
最初は三田の地に勧請、
1679年(延宝7年)、京極高豊(きょうごく たかとよ)の代に
現在の虎ノ門に遷座されました。
当時は金毘羅大権現と称されていたのですが、
1869年(明治2年)、神仏分離の沙汰により事比羅神社へ、
1889年(明治22年)には現在の社号金刀比羅宮に改称されました。
ちなみに、この場所は江戸城の裏鬼門にあたります。
他にも、この社殿には逸話があり
1923年(大正12年)の関東大震災で
金刀比羅宮周辺が火に囲まれる中、
社殿上空に突如として雲が現れました。
その雲上に銀髪で髭を蓄えた翁が大麻で火の粉を払っている姿を
防火作業中の宮司らが目撃したそうです。
江戸時代から
「虎ノ門の金刀比羅宮に天狗在す」
と庶民の間では周知されていたそうなので
震災時も、きっと全力で翁(天狗様)が守ってくれたのでしょうね。
わたくしもお姿を拝見出来ないものかと
社殿を見上げると……
ビル、ビル

その横もビル、ビル

江戸と令和のコントラスト感に圧倒され、
まるでパラレルシフトしてしまったような錯覚を起こしました。
目にするだけで金運アップ!? カラフル&丸金紋
銅鳥居の左手前にある鮮やかな五色旗。↓

風にはためく様子が美しい!
この五色とは天地万物を組成している五つの要素
(木・火・土・金・水)の象徴を表しているのだそう。
丸金の紋が、おめでたい印象です。
拝殿の頭上にも白地に赤字丸金の提灯がずらりと並びます。↓

頑丈そうなお賽銭箱にも丸金。↓

屋根の上にも丸金。↓

だんだん、リッチな気分になるのは
わたくしだけでしょうか?
他にも特徴的だったのは
いたる所にベンチが設置されているところです。↓

こちらのベンチは裏鳥居のすぐ近くにあり、↓

併設するように自販機も置かれていました。
気が利いてますね。
少しの間、休憩させて頂きました。
秘めた想いを成就させる、良縁祈願の聖地
わたくしが座っていたベンチの横を拝殿の右横に向かって
歩いていく人の姿を見かけました。
「この先に何かあるのかな」と興味を持ち、
行ってみることにしました。
すると十三重石塔がありました。↓

午後の日差しが差し込み、眩い空間を醸し出しています。
神々しくて思わず撮影。
少し進むと右手に
喜代住稲荷(きよすみいなり)神社が。↓

五穀豊穣や商売繁盛のご利益があります。
その先に結(むすび)神社。↓

青い旗と対比するように
赤紐の結び棚の朱色が鮮やかです。↓

「むすび」という名のとおり良縁祈願のご利益があります。
江戸時代、祈願に訪れた女性たちは
この結神社にて自らの黒髪の一部、あるいは折り紙を持参し、
社殿の格子や周りの木々にそれらを結わい付けて、
良縁を願い、成就させていたそうです。
一時この風習は途絶えていたのですが、
現在は赤い紐を結ぶことでこの祈願を復興させたそうです。
赤い紐は授与所にて
良縁祈願セット(お守り付800円)として取り扱っています。
こちらの神社に向かって歩いてくる
女性の姿がありましたので
わたくしはそっとその場を離れました。
真剣な想いで訪れる方ばかりだと思います。
陰ながら成就を願わせて頂きました。
現在も江戸時代さながらの賑わいが継続中
歌川広重の江戸名勝図会に
十日縁日の賑わいを描いた『江戸名勝図会 虎の門』
という画作があります。↓

出展:広重『江戸名勝図会 虎の門』. 国立国会図書館デジタルコレクション
毎月10日の縁日の様子が描かれています。
現在でも1月10日の初こんぴら祭や
10月10日の大祭は大変な賑わいです。
特におかめ・ひょっとこ民踊は
見るだけでも福がもたらされますので
最近「笑ってない」「元気がない」という方には
強くおススメします。
さまざまな歴史を経て
多くの人たちに親しまれてきた虎ノ門 金刀比羅宮。
都会で生きていると正直しんどいときもあります。
歩き疲れてどこかで休みたいと思ったとき、
ビル群ばかりと思われていた一角に
こんなに歴史溢れる空間を見つけたら
どんなに癒されることでしょう。
銀髪で髭を蓄えた翁(天狗様)から
「頑張っておるなぁ。まあ、ちょっと一息ついていきなさい」
と労いの声を掛けてもらえそうな
寛大で明るい雰囲気が境内には満ち満ちていました。
住所:東京都港区虎ノ門一丁目二番七号
アクセス:東京メトロ銀座線 『虎ノ門駅』2a出口より徒歩1分
東京メトロ日比谷線 『虎ノ門ヒルズ駅』A2a・b出口より徒歩5分
東京メトロ丸ノ内線/千代田線 『霞ケ関駅』A13番出口より徒歩5分
http://www.kotohira.or.jp/
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