深く澄んだ青は空海が目指した空と海の色
お守りコレクションblog
第270回目は福岡県福岡市博多区にある
東長寺の御守です。
お守り代700円(授与時)。

深みのある青の布地に
羅網(らもう)がデザインされています。
まるで空気の澄んだ土地で
夜空に輝く星を見上げたときのような
煌びやかなデザインです。
羅網とは
天界や極楽浄土にあるとされる宝珠を連ねた網。
お寺などに行くと
堂内や仏像の頭上に飾られている
仏様の世界を美しく飾る仏具です。
御守の文字の上にある寺紋は
三つの藤の花房が左に渦を巻いた三つ藤巴。
東長寺は福岡藩主・黒田家と縁が深く
三つ藤巴は黒田家の公式定紋でもあります。
境内には
2代藩主 黒田忠之(くろだ ただゆき)
3代藩主 黒田光之(くろだ みつゆき)
8代藩主 黒田治高(くろだ はるたか)
が眠る黒田家墓所(福岡市指定文化財)があり
この他にもいたるところに
四角・丸・三角・半月・宝珠の5つの石が積み重なった
五輪塔が祀られています。↓

左右対称の幾何学模様はまるで宇宙の秩序そのもの
裏面です。

表面と同じく羅網が描かれ
別格本山 東長寺
と書かれています。
別格本山とは
本山に準じる特別な格式や待遇を与えられた重要な寺院
という意味です。
裏面の羅網は寺名を囲むように
左右対称に配置されています。
この均等感のある配置が
この世の法則や秩序を意味づけているように感じます。
空海が日本で最初に建立した真言密教の寺院
東長寺は地下鉄空港線 祇園駅
1番出口を出ればもう目の前です。↓

寺標には
弘法大師開基
真言密教最初霊場
南岳山 東長密寺
と、記されています。
東長寺は空海(弘法大師)が唐から帰国した806年
日本で最初に建立した真言密教の寺院です。
山号は南岳山(なんがくさん)。
山号とは簡単に説明しますと
実在する特定の山を指したものではなく
お寺を世俗から離れた『山』に見立て
格式や神聖さを表すという、
仏教の慣習に基づき付けられるものです。
そして
正式名称は東長密寺(とうちょうみつじ)ですが、
東長寺として広く知れ渡っています。
「真言密教の教えが、日本の地(東)へと長く伝わるように」
という願いを込め、空海が
東長(密)寺と名付けたそうです。
同じく門前にあるこちらの寺標には

密教東漸 日本最初霊場(みっきょうとうぜん にほんさいしょれいじょう)
と、記されています。
東漸(とうぜん)とは
思想や文化、宗教などが
「東に向かって少しずつ進み、広まること」
を指す言葉です。
かつてインドで生まれた仏教が、中国を経て
東の果てである日本へと伝わってきた壮大な歴史を
仏教では仏法東漸(ぶっぽうとうぜん)と呼びます。
大陸という「西」から、日の昇る「東」の日本へ。
空海がその最果ての地で
新時代の光を未来へ繋ごうとした祈りが
密教東漸に込められているのかもしれません。
のちに和歌山の高野山や京都の東寺が
真言密教の聖地として有名になっていきます。
ですが、空海の偉業に先駆け、
最初に産声を上げたのは東長寺なのです。
ここ東長寺は空海の原点とも言える特別な場所なのです。
山門です。↓

古代紫の門幕には
向かって右に
お守りにも記されていた三つ藤巴、
左側には桐紋が刻まれています。
左右の提灯にも寺紋が刻まれ
門幕と相まってかっこいいと感じるのか
外国人観光客の撮影スポットになっていました。
ビル街の騒がしさを忘れさせてくれる博多の隠れ処
境内に一歩足を踏み入れると
背後の国道の喧騒とコントラストするように
泰然とした空間に切り替わります。
深呼吸すると
もう自分は東長寺の一部となった感覚です。
左手にはソメイヨシノの木。↓

しっかりと手入れされており
春の季節の華やかさが想像できます。
桜の木に隠れるようにひっそりと
立江地蔵尊(たつえじぞうそん)
知恵地蔵尊(ちえじぞうそん)
が祀られた地蔵堂。↓

九州二十四地蔵尊霊場の
第22番札所に当たります。
九州二十四地蔵尊霊場とは
福岡県・佐賀県・長崎県の3県にまたがる
お地蔵様を祀る24の寺院で構成された巡礼地なのだそう。
目立たない場所にありますが
この場に訪れる人を見守ってくれているような
慈悲の心を感じ、そっと手を合わせました。
桜の木と地蔵堂のすぐ横は六角堂です。↓

その名の通り六角形の建物で
6体の仏像が納められている六角堂。
1842年に建立され
1988年に福岡市指定有形文化財(建造物)
に指定されました。
六角形の堂内の中心には、
これまた六角形の巨大な仏龕(ぶつがん)。
扉を開け放つことで
周囲を回りながらどの方向からでも
中の仏像を礼拝することができます。
弘法大師像(真言宗の開祖)
薬師如来像(病気平癒の仏)
文殊菩薩像(知恵の仏)
白衣観音像(息災除病の仏)
地蔵菩薩像(子供や弱者を救う仏)
北辰霊符神像(妙見信仰・星の神)
という6体の仏様が安置されています。
毎月28日が御開帳で
その他の日は扉が閉まっている、とのことだったのですが
立ち入りを制限するポールがあったものの
一部の扉が開いていて
薬師如来像と↓

白衣観音像↓

地蔵菩薩像↓

を拝観することができました。
山門を入ったばかりの周辺は
何となく落ち着いた場所でしたが
本堂の方へ進むと
また雰囲気が変わってきました。
千年を超えた祈りを今につなげる荘厳な大本堂
広い境内でとび抜けたスケール感を誇る本堂。
災害に強いコンクリート造りです。↓

公開はされてませんが
本堂には国の重要文化財に指定される
木造千手観音立像が
ご本尊として迎えられています。
3月21日 正御影供
6月15日 弘法大師誕生祭
などに公開することもあるようです。
境内の中で
大きく成長している木々の存在を
さらに引き立てるかのような
朱色の五重塔。↓

青空に伸びる相輪は
太陽の光を浴びて
金色の輝きを放っています。
五重塔は2011年5月に完成し
全長25.9メートル。
釘を使用しない伝統工法で建てられた総檜造です。
檜は、奈良の吉野檜と
高知の四万十檜の赤身材を使用しています。
瓦は耐寒性に優れた岐阜の美濃瓦を
1万7850枚も使用しています。↓

五重塔を正面から見た右隣の位置に
聖天堂があります。

聖天(しょうてん)
十一面観世音(じゅういちめんかんぜおん)
摩利支天(まりしてん)
の3体が祀られています。
宗教の枠組みで名は異なりますが
聖天とインド神ガネーシャは
根源は同一なのです。
そして十一面観世音様は聖天の妻です。
やりたい放題の悪神だった聖天を
愛で改心させたとのこと。
軒下には木製できた
長い数珠が吊り下がっています。↓

どうやるんだろう?? と触ってみると
力を込めなくても数珠が上から下へ
回転するしくみになっていることがわかりました。
回すたびに木の数珠同士が当たり
カチンカチンとよい音がします。
この数珠の名は願供養念珠(がんくようねんじゅ)といい
108個ある数珠を回しながら
心の中で願い事を唱えるとご利益があるそうです。
たくさんの人が数珠を回しているからか
ツヤが出てピッカピカです。↓

夫婦和合、商売繁盛、勝利、厄除け、開運など
あらゆる願いを叶えてくれると
密かな人気スポットとなっています。
人は何度でも生まれ変われる! 檜造りの福岡大仏
最後に紹介するのは福岡大仏(ふくおかだいぶつ)です。
本堂の右隣に福岡大物が鎮座する建物があり
2階に上がると受付があります。
拝観料は100円、建物内は撮影禁止です。
入り口の右手に授与所もあり
お守りをはじめ、仏教関連品などを扱っています。
入場するとすぐ
左正面に大仏様のお姿が現れます。
その悠然さに目を逸らすことができず
見上げたまま、仏像の前まで足を進めます。
視線の先には、木肌に鈍い光を宿した
深みのある琥珀色の大仏像。
まとう衣は木製とは思えない流美な曲線。
切れ長の眼は、すべてを見透かすようで
それでいて心を包み込むような
深い慈悲に満ちています。
このときわたくしは
口をポカンと開けていたことでしょう。
仏像の高さは煩悩の数に合わせた10.8m。
背後を飾る高さ16.1mの光背は、木造透かし彫り。
光背の後ろにある壁面には
同じく木製で約5,000体もの小さな仏が
びっしりと祀られています。
そして、この巨像を支える
お堂の軸組の美しさにも目を奪われました。
整然と組み上げられた格天井
それを支える太く強固な木組みの梁。
高窓から差し込む自然光が仏像の陰影を際立たせ
曼荼羅の世界に奥行きを与えています。
ぜひ皆さまも
福岡大仏様に直接お会いになって下さい!
眼福であり、心も洗われます。
そして楽しみにしていた地獄・極楽めぐりに。
大仏殿の台座内にある、人間の死後の世界を五感で体感できる暗闇の回廊です。
こちらは別途料金はかからず体験できます。
ではワクワクしながら中へ!
地獄絵巻のが並ぶ通路を越えると
一歩先すら全く見えない漆黒の世界へ切り替わります。
この闇に溶けて自分の体が消えたようになる感覚がたまらなく好きです。
ハッキリ言ってジェットコースターよりエキサイティングです。
それでも進まなければいけません。
ゴールが見えない
何も見えない
頼るのは手のひらと足の裏の感覚だけ。
だんだん五感が冴えてくる頃
うっすらと光が見えてきます。
光を求めるように足が動き、ゴール(誕生)です。
途中、金属製の仏の輪(極楽の輪)があります。
暗闇の中でこの輪を見つけ触れることができれば
極楽浄土に行けると言い伝えられています。
仏の輪は右側の手すり沿いに設置されているそうで
わたくしは、左側の壁を頼りに歩いてしまったので
触れることができませんでした。
煩悩だらけなので
極楽浄土へ行くにはまだ修行が足りないのでしょう(笑)
地獄・極楽めぐりの後は
太陽の光がやけにまぶしく感じます。↓

空海は真言密教こそが
戦乱や疫病に苦しむ日本を救うと信じ
命を懸けて唐から帰国しました。
あれから千年以上の月日が流れ
時代が移り変わり、社会の姿も変わりましたが
人が抱える不安や悩みの本質は変わりません。
空海の願いは
叶わなかったのでしょうか?
わたくしは、そうは思いません。
手を合わせ、祈りを捧げる人が
まだこの世に一人でもいるならば、希望はあるのです。
空海の想いを、現代に生きる人たちが
少しでも引き継いでいくことができたら
世界は変わっていくと思います。
さあ、ここからは新しい人生の始まりです。
地獄・極楽めぐりで
わたくしは生まれ変わったのですから!

東長寺周辺の神社仏閣情報
櫛田神社 (福岡市博多区) 博多守

筥崎宮 (福岡県福岡市東区)勝守

太宰府天満宮(福岡県太宰府市)心守

太宰府天満宮(福岡県太宰府市)菓子守

住所:福岡市博多区御供所町2-4
アクセス:地下鉄「祇園駅」から徒歩1分
公式HPはありません



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