大胆なデザインに潜む細かい刺繍にアッパレ
お守りコレクションblog
第131回目は島根県松江市にある
佐太神社の「導き御守」です。
初穂料800円(授与時)。
達筆な「導」の文字が大きく真ん中に入り、
その下には大波が踊っている様子が
描かれたデザイン。
見方によっては大味にも感じられますが、
よく見ると刺繍が細かく、
曲線の柔らかさも見事。↓
とてもていねいに作られた感じがします。
大胆にして繊細。
そんな言葉が似合うお守りではないでしょうか。
佐太神社になぜ
「導き御守」があるかというと、
ご祭神である佐太大神は
またの名を猿田毘古(猿田彦)大神といい、
高天原から天下りする瓊瓊杵尊の
道案内をしたことから
「導き」「道開き」の神として
信仰されているからであります。
「導き」「道開き」が「交通安全」につながり、
警視庁では猿田彦大神を交通安全の神として
お祀りしているそうです。
ところで、
大波は何を意味しているのでしょう?
つい考えてしまいます。
「導き」「道開き」は「交通安全」と同様、
「航路の安全」とも結びつきます。
松江という場所は宍道湖や中海、
さらには日本海とも面していて、
まさに水の都。
そう考えたときに波を描き、
海の安全を願うのは
もっともなことだと思うわけです。
ちなみに
「導き御守」には斜めの線が入っておりますが、
風とも日差しとも解釈できそうですね。
五行説をもとに自分の当てはまるカラーをチョイス
裏面です。
「導き御守」は五行説に基づいて
5色を奉製。
青(緑)……五行は木、方角は東、季節は春、干支は寅・卯
紅(赤)……五行は火、方角は南、季節は夏、干支は巳・午
黄 ……五行は土、方角は中央(黄龍)、季節は土用、干支は辰・未・戌・丑
白 ……五行は金、方角は西、季節は秋、干支は申・酉
玄(黒)……五行は水、方角は北、季節は冬、干支は亥・子
なので、授与される場合は
「この色好き!」ではなく、
自分の干支に当てはまるものを選ぶと良いでしょう。
今回紹介しているお守りは
玄(黒)であります。
玄とは、赤や黄みを含んだ深みのある黒色を指しますが、
実際のお守りの色は紫であります。
黒だとちょっとインパクトが強いのかなあ、
紫で柔和させたほうが柔らかさが出るのかなあ、
だからそうしたのかなあ、
と勝手に推測しております。
実際に黒いお守りは数多く存在し、
カッコいいのもたくさんあるわけですけども。
五行説とは五行思想ともいい、
自然界のものは「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類でき、
これらは相互に助け合ったり、抑制し合ったりすることで
バランスを保っているという考え方。
助ける関係を相生(そうせい)、抑制する関係を相克(そうこく)といいます。
相生
木が燃えて火がおき、火からできる灰が土を肥やし、
土から鉱物(金)が生まれ、鉱脈から水が湧き出て、水は木を育てる。
相克
木は土の養分を吸収し、土は水をせき止め、
水は火を消し、火は金(金属)を溶かし、金は木を切る。
佐太神社とは以下のようなところです。
大社造りの三殿並立の社殿は神社建築の歴史を見ても珍しい
佐太神社は松江の市街地にあるのではなく、
のどかな田園風景が広がるようなところに鎮座しています。
JR松江駅より一畑バス恵曇方面行きに
乗って約25分。
『佐太神社前』で下車して
1~2分歩いたところにあります。
鳥居です。
その右にあるのは駐車場です。↓
車で行くと、
鳥居をスルーしてしまいそうですが、
神域への入り口でもありますので
ここから神社内へと入っていきたいですね。
鳥居の右隣には
神社名が書かれた石柱。
読みづらいですが
「佐陀大社」と入っています。
これは延喜式に記されている
旧名であります。↓
鳥居を入り、
参道をまっすぐ歩いて行くと
随神門なのですが、
その手前に狛犬がおります。↓
睨みをきかせているようにも見えますし、
笑っているようにも見えますね。
見る人のそのときの心境によって
変わるということでしょうか。
随神門です。↓
随神門には門番である
随神がおられます。↓
目を見開いている姿が少し怖いです。
門番はこのくらいの迫力がないと
務まらないんでしょうね。
拝殿です。↓
創建は西暦25年(垂仁54年)とウィキにはありましたが、
公式HPには記載がないため、
参考として書き記しました。
奥に屋根が三つ見えます。
本殿が三殿並んでおり、
真中の社は正中殿(せいちゅうでん)。↓
佐太大神(=猿田毘古大神)、伊弉諾尊、伊弉冉尊、
事解男命、速玉之男命の五柱が祀られています。
扇形の神紋は「地紙」といいます。
向かって右の社は北殿(ほくでん)。↓
天照大神、瓊々杵尊の二柱が
祀られています。
丸が2つ重なっている神紋は
「輪違(わちがい)」といいます。
向かって左の社は南殿(なんでん)。↓
素盞鳴尊、秘説四座の神の五柱。
このひし形の神紋は「二重甲羅」といいます。
秘説四座の神とはご祭神名を出せない
秘密の神様なのだそう。
んんー、知りたい!
大社造りの三殿並立の社殿は
神社建築史でも珍しく、
国の重要文化財に指定されています。↓
特に南殿は
通常の大社造りの構造とは逆に作られており、
他に類例を見ないということです。↓
外観の写真では分からないですよね。
現在の本殿は1807年(文化4年)
松江藩が総力をあげて造営されたものです。
この建築様式は戦国期の元亀年間にまで遡ると
伝えられています。
また三殿並立の形態は
平安の末ごろには
成立していたのではないかと
考えられています。
本殿は40年ごとに
式年の遷宮を執り行い、
修復されて現在に至ります。
拝殿の目の前には
おみくじがたくさん。↓
「獅子舞おみくじ」って
どのようなものだろう?
「黄金しじみくじ」も気になる。。
「開運」ではなく「貝運」というところが特に。
いずれにせよ
おみくじ好きにはたまりませんね!
拝殿の左手前にあるのが
弓石といわれるものです。↓
2つ石が地面から突き出るように立っている弓石。
佐陀大社縁起には
伊弉諾尊が神社の東方にあたる
大葦的庫山に向けて弓を射て、
その弓が地に落ちて岩となった。
その岩は半分に折れて
国庁の南の側にある
という旨が記されているのだそう。
※国庁とは現在の舞殿の古称です。
伊弉冉尊の陵墓に向かう途中に蛇が。神使のお出迎え!?
佐太神社といえば
大社造りの三殿並立の社殿が有名ですが、
伊弉冉尊(いざなみのみこと)の陵墓があることでも
知られています。
母儀人基社(はぎのひともとしゃ)といいます。↓
母儀人基社は
佐太神社の背後にある三笠山の中腹にあります。
中腹といっても石段を50メートルほど
上るだけなので
それほど大変ではありません。
やや急ですが。↓
この石段は
拝殿から向かって
左奥(南側)にあります。
小さいのですれ違うのが大変。
母儀人基社に向かって歩いていると
上のほうで
「キャー」という女性の悲鳴が。
やばいことが起きたのではないかと
思ったら
茂みの中になんと蛇が。↓
これはビビります。
わたくしも一瞬、足がすくみました。
しかし。
蛇は神の使いというじゃないですか。
だとしたら
悲鳴を上げていた女性を含めて
今日この時間に
参拝している人たち全員が
神に呼ばれた者たちであり、
神に歓迎されているのではないだろうか。
そして神とは
伊弉冉尊しかおりません。
そう思うと
恐怖は自然となくなり、
蛇に手を合わせて
佐太神社へ来ることができたことを
感謝する次第でした。
神の歓迎を受けたわたくしは
先へ進みました。
ときより
背後から「キャー」という
悲鳴が聞こえます。
みんな同じポイントで
お決まりのように
大声を発するものですから
「ここはお化け屋敷か」と
なんだか笑えてきましたね。
そして到着です。↓
この磐境(いわさか)こそが、
伊弉冉尊を祀る母儀人基社であります。
広島県庄原市の比婆山にある
伊弉冉尊の陵墓を遷し祀った社と
伝えられており、
佐太神社が創建される以前から
御神座されているのではないかと考えられています。
古くから子宝、安産ご利益があると
信仰されてきたということです。
大きいお社が建っているわけではなく、
ただひっそりと「ある」。
そこに日本神話が単なる空想話ではなく、
加工はされているだろうけど
実話だったのではないかと
思わせてしまう質素感や謙虚さがあるのです。
何だかワクワクしますね!
松江の市街地からは
離れていて
行きづらいかもしれませんが、
佐太神社はとても神聖なところです。
豊かな人生を送れるように
佐太大神(=猿田彦大神)にお導かれください!
住所:島根県松江市鹿島町佐陀宮内73
アクセス:JR松江駅より一畑バス『恵曇方面行き』で約25分。『佐太神社前』下車すぐ
http://sadajinjya.jp/
コメント